ニッケ日記

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【銘柄分析】牧野フライス製作所

はじめに

 こんにちは。ニッケと申します。

 本日は株式会社牧野フライス製作所(証券コード:6135)について分析したいと思います。

会社概要

 牧野フライス製作所は、工作機械の製造販売を行っている会社です。

 製造は日本とアジア、販売は海外の子会社で展開し、グローバルな販売活動を行なっています。

プロダクト

 工作機械とざっくり言っても様々な種類があるため、この会社が製造・販売するプロダクトの例を挙げます。

マシニングセンタ

 マシニングセンタとは、中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工を連続で行えるNC工作機械を指します。また、それぞれの加工に必要な工具を自動で交換できる機能を備えています。[1]

 この会社は横形、立形、5軸制御などマシニングセンタを販売しています。

フライス盤

 フライス盤とは、フライス工具と呼ばれる工具を回転させ平面、曲面、みぞなどを加工する機械です。[1]

セグメント別の業績

 牧野フライスは製作所は、(厳密さは欠きますが)Ⅰ日本、Ⅱアジア、Ⅲアメリカ、Ⅳヨーロッパの4つのセグメントに分けることができます。

 以下にセグメント別79期(2016年)〜83期(2021年)の受注高、受注残高、売上、利益をまとめました。また、受注高と売上に関しては前年比をグラフにしました。

受注高(百万円)

第79期 第80期 第81期 第82期 第83期
I 61,836 63,918 43,634 33,143 65,543
II 59,202 61,611 40,738 44,112 82,605
III 56,782 56,600 47,899 32,579 63,209
IV 20,143 19,832 9,312 7,574 17,602
合計 197,965 201,963 141,585 117,410 228,960

受注高前年比

受注残高(百万円)

第79期 第80期 第81期 第82期 第83期
I 26,701 25,045 17,733 15,531 27,251
II 10,900 12,191 8,418 11,483 19,845
III 16,492 14,131 12,647 12,829 30,258
IV 11,499 11,480 6,232 5,861 10,720
合計 65,594 62,848 45,032 45,705 88,075

売上高(百万円)

第79期 第80期 第81期 第82期 第83期
I 117,239 135,502 100,030 68,734 117,159
II 67,001 70,184 51,230 45,169 83,427
III 55,243 59,384 50,584 32,742 46,132
IV 16,588 19,975 14,616 7,957 12,824
合計 256,073 285,046 216,462 154,604 259,543

セグメント別売上前年比

利益(百万円)

第79期 第80期 第81期 第82期 第83期
I 7,324 12,633 △1,547 △5,740 3,334
II 5,880 5,873 3,125 2,313 5,562
III 1,873 2,203 1,980 599 1,933
IV 462 715 33 △1,440 123
合計 15,540 21,425 3,592 △4,268 10,954

 以上をまとめると以下のことが言えます。

  • 日本における売上が一番大きい
  • ヨーロッパの受注が増えている
  • アジアの売上が伸びている
  • アジアとアメリカはパンデミックの最中も利益を出していた
  • 2021年は前年比で売上が約1.6倍になった

工作機械とフライス盤の市場

 ここで、工作機械とフライス盤の市場規模(米ドル)を見てみます。

 工作機械とフライス盤のレポート[3][4]によると、2020年の工作機械の市場規模は133億ドル、2026年は192億ドルと推定されています。また、フライス盤は、2022年は68億ドル、2026年は85億ドルと考えられています。

 工作機械のレポート[3]では、アメリカと中国の市場規模についても触れられています。アメリカの工作機械市場は2021年に12億ドル(世界市場で8.72%のシェア)と推定されています。そして、世界第2位の経済大国である中国は、2026年に推定市場規模81億米ドルに達すると予測されています。

 一方で、フライス盤のレポート[4]では、アメリカのフライス盤市場が2022年に2億6,130万ドル、中国は2026年までに38億ドルの予測市場規模に達すると予測されています。

 以上をまとめると以下のことが言えます。

  • 工作機械とフライス盤の世界的な市場規模は、今後4年間で約1.5倍に拡大すると考えられる
  • 同市場では、2026年には中国が世界の約3割を占める

考察

 牧野フライス製作所にとって、一番の稼ぎどころはやはり日本であると考えられます。

 しかし、ヨーロッパでの受注が増えていること、近年はアジアが一番受注していること、アメリカの売上が伸びていることなどを踏まえると、徐々に海外の比率が高まってきていると考えられます。

 また、この会社の全体的な売上の伸びが1.6倍程度である一方で、世界的な市場規模の拡大が今後4年間で約1.5倍ということを考えると、市場規模よりも速いペースで成長する会社だと考えられます。

 最後に、市場としては今後中国が大きな割合を占めていくと考えられ、アジア地域という継続して利益を出せるセグメントがこの会社にとってより重要になると推察できます。

おわりに

 牧野フライス製作所は、ToB向けにビジネスを行っており、誰もが知っている会社ではないかもしれません。しかし、世界のものづくりを支える会社ということで、非常に興味深い会社だと思います。

 工作機械の世界的な市場は拡大傾向にあり、同じく工作機械を販売している芝浦機械(証券コード:6104)、DMG森精機証券コード:6141)なども注目ですね。

 最後までご覧いただきありがとうございました。この記事がいいなと思った方は是非スター・コメントをよろしくお願いします。

参考

[1] 工作機械の種類と加工方法 | 一般社団法人 日本工作機械工業会

[2] 株式会社牧野フライス製作所

[3] Global Machining Centers Market to Reach US$19.2 Billion by

[4] Global Milling Machines Market to Reach $8.5 Billion by 2026