【企業分析】高田工業所
はじめに
こんにちは。ニッケと申します。
本日は高田工業所(証券コード:1966)について分析します。
企業概要
株式会社高田工業所は福岡県に本社を置く企業で、鉄鋼や化学プラント事業を手掛けています。
フリーキャッシュフローの推移
この企業を分析するにあたり、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー方式)などで使用されるフリーキャッシュフローの推移に着目しました。以下の表に期末(3月)を軸にまとめます。
期末(3月)におけるフリーキャッシュフローの推移
年度 | フリーCF |
---|---|
2012年 | 411 |
2013年 | -1,118 |
2014年 | 894 |
2015年 | 2,614 |
2016年 | -3,072 |
2017年 | 4,225 |
2018年 | 1,063 |
2019年 | 1,118 |
2020年 | 989 |
2021年 | 661 |
気になるのは、2015年~2017年のフリーキャッシュフローの変動です。
各年度の決算を読んでみたのですが、売上債権の増減が影響していると書かれているだけで、根本的な要因は分かりませんした。ただ、2016年は、一部の事業所において完成工事高の繰延、下請業者に対する工事の架空発注及び現金のキックバックが行われていたことが判明し、特別損失を計上したとのことです。
売上債権回転期間
売上債権回転期間とは、売上債権回転期間とは、売上高に対する売上債権の割合のことで、会社の売上債権がどれくらいの期間で回収できるかを計る指標として用いられます。
以下の表に、年度ごとに高田工業所の売上債権回転期間(月)をまとめました。
年度ごとに高田工業所の売上債権回転期間(月)
年度 | 受取手形 | 電子記録債権 | 完成工事未収入金 | 完成工事高 | 売上債権回転期間 |
---|---|---|---|---|---|
2013年 | 1,063,789 | 0 | 12,491,334 | 39,637,253 | 4.10 |
2014年 | 1,199,017 | 0 | 16,308,893 | 47,637,824 | 4.41 |
2015年 | 1,063,831 | 0 | 12,895,915 | 42,672,053 | 3.93 |
2016年 | 1,946,825 | 0 | 16,569,619 | 47,279,669 | 4.70 |
2017年 | 181,472 | 1,203,434 | 12,612,439 | 45,350,471 | 3.70 |
2018年 | 66,128 | 1,114,038 | 14,049,381 | 49,219,419 | 3.71 |
2019年 | 71,165 | 1,027,598 | 12,804,432 | 49,710,057 | 3.36 |
2020年 | 49,126 | 639,467 | 13,665,242 | 47,794,803 | 3.60 |
2021年 | 28,175 | 883,419 | 10,793,281 | 47,243,833 | 2.97 |
徐々に売上債権回転期間が短くなっているのが分かるかと思います。
この値は小さいほど企業の資金繰りが良いとされます。そのため、この会社は徐々に経営力が向上しているのではと推測できます。
若い世代の活用
経営力に関連して、中期経営計画によると、高田工業所は若手・中堅社員で構成する「組織活性化委員会」の設置するなど、若手社員の活用に力を入れようとしています。 また、ICT推進による生産性向上・競争力強化や、プラント事業強化のための新規事業の開発にも焦点を当てた経営を行おうと計画しています。
中・長期的に見た時にこの辺りがどのように売上に結びつくか楽しみですね。
取引先の売上との相関性
ところで、高田工業所の主な取引先は、日本製鉄、三菱ケミカル、AGCです。
そこで、四半期毎の取引先売上と株価から何か関連性があるのでは思って表にしてみました。株価は四半期毎の終値を採用しています。
しかし、相関を取ってもあまり関連がなさそうでした。
上手く相関が出てくれれば、重回帰分析で株価予測もと考えたのですがちょっぴり残念です。
ただ、この3兄弟は強い相関があることが分かったので、それぞれの決算から別の決算を予想してみるのも面白そうですね。
原発関連
高田工業所は、使用済燃料を貯蔵するステンレスのプールを取り扱っており、原子力関連の銘柄でもあります。
受注としては数%しかないものの、会社の時価総額が63億円程度しかないことを考えると、思惑で上下することはありそうですね。
株価
2011からの株価推移を週足で表示しました。
2019年末から2020年初にかけて、株価が約2倍に急騰していることが分かります。
2019年11月6日に発表された、2020年3月期第2四半期決算によると、化学プラントの定修工事や電力設備の建設工事の増加、また、業務効率化によるコストダウンや生産性向上の推進により、親会社株主に帰属する四半期純利益は10億7千5百万円(前年同四半期比83.0%増)になったとあります。
そのため、決算次第では急に跳ね上げ銘柄であると考えられます。
まとめ
以上をまとめると以下のことが言えますと考えられます。
- 徐々に経営力が高められていて、若い世代への引き継ぎも行おうとしている
- 取引先の売上と高田工業所の株価は連動しない
- 原子力などの思惑で株価が動く
- 決算次第では急騰する
おわりに
売上債権の増減が業績に大きな影響を与えている可能性は分かったものの、具体的な詳細までは分かりませんでした。また、業績と株価の関連についても、まだ深掘りの余地があると感じました。
より角度の高い分析ができるように精進したいです。
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