ニッケ日記

徒然なるままに書いています

【企業分析】コニシ

はじめに

 本日はコニシ株式会社(証券コード:4956)について分析します。

 パッと見は単なるボンドの会社なのですが、最近になってどうも調子が良いようで...

 その理由について探れたらと思います。

会社概要

 分析に移る前に、会社の概要を見ておきます。

社名

  • コニシ株式会社

創業

  • 1870年(明治3年)11月

従業員数

  • 連結 1,529名 単独 745名 (2022年3月末

事業内容

  • ボンド事業
  • 化成品事業
  • 土木建設工事事業

コニシの製品がどこで使われているのか

 コニシに対するイメージをもう少し膨らませるため、具体的にどの様な場面で製品が使われているのか見ていきます。

 主力製品の接着剤は、家庭用・工業用問わず様々な場面で使われています。

 家庭用は壁・柱への接着や手芸で、工業用なら、配線や電線などの電材に使われています。

 また建材に用いられることもあります。

財務指標

売上

 売上は20年ほど前と比較し、約1.6倍になっています。

 最高は2020年となっています。2021年に急激に落ち込みましたが、徐々に回復基調にあるようです。

(株探より引用)

利益率

 2021年は売上が落ち込んだ年ではありますが、一方で、最終益は前年を上回っています。

 その理由としては、接着剤等の原材料価格下落があるようです。

(株探より引用)

3ヶ月決算

 直近2年の3ヶ月決算では、売上・営業益・経常益すべてで特記すべき変化は無いように思えます。

 前期の最終益が大幅に伸びていますが、これは固定資産売却益の影響なので無視できると思います。

 ただし、売上営業損益率が徐々に落ち込んでいるのは気になります。

(株探より引用)

各セグメントの動向

 直近2年ほどの各セグメントの動向を財務資料からまとめました。

(コニシの有価証券報告書・四半期報告書より抜粋)

 まとめると、ボンドセグメントは、ホームセンター、コンビニ、新設住宅を代表とする住宅関連向けの需要が売上の要因となっています。

 このセグメントでは、原材料高を受けて値上げを実施していることも読み取れます。

 次に、化成品セグメントは、自動車分野で中国での営業やエタノール関連商品の販売があるようです。

 このセグメントは、市場拡大を目指すフェーズにあるようです。プロダクト・ライフサイクルで言うところの導入期の後半でしょうか。

 最後に、工事事業セグメントは、公共事業を中心に補修、改修、補強工事を行っています。

住宅着工統計

 新設住宅着工の統計をe-statより引用します。

分析

 まず、全体を見ると、売上と3ヶ月決算を踏まえ、コニシは緩やかなペースで成長している企業であると考えられます。

 しかし、近年の物価高の影響を受け、利益率は圧迫されているように思われます。

 次に、各セグメントについて分析します。

 ボンド事業については、巣ごもり需要による家庭内のボンド消費は確かに減少しているものの、セグメントして見た際は住宅関連向けの方が重要となります。また、住宅着工統計から分かるように新設ではありますが住宅向け需要は安定しています。

 そのため、材料費を価格転嫁できていることが好感視されているのではないかと考えられます。

 化成事業については、中国のロックダウンが緩和されつつあるため、自動車向けの需要が回復するのではと期待できます。

 最後に、工事事業については、インフラ関連ということで、安定した収益源になっているのでは思われます。

 以上を踏まえ、コニシは、化成事業を伸ばしつつも、利益率の改善に努めている企業であると考えます。

 そのため、急激な株価上昇は見込めないものの、安定的な上昇を見込み、長期目線の投資家達が購入しているのではと推測します。

ボンド事業の始まり

 蛇足ではありますが、コニシの意外な歴史を紹介します。

 今ではすっかり接着剤のボンドで有名なコニシ。しかし、創業当時は薬屋を営んでいました。

 その後は変わって酒類の製造・販売を行いましたが、太平洋戦争でアルコール類が専売制になったことで閑散期へ。

 戦後に入り、経営は安定したものの、経営陣はさらなる事業拡大を目指していていました。

 その様な中、後にボンド博士との異名を持つことになる、沖津俊直との縁がきっかけで、ボンド事業は始まりました。

 人生と同様、会社にも何があるか分からないものですね。

おわりに

 誰もが小学生のときに使ったであろうボンドのコニシ。分析する前は上場していたことすら知りませんでした。

 意外なところではアンコール遺跡群の修復に使われていたりと様々な場面で活躍しています。

 この分析を通じ、普段はあまり意識しない生活の裏側にも目を向けることができたと思いました。

参考URL

http://www.bond.co.jp/ http://www.bond.co.jp/150th/history.html https://www.nttcom.co.jp/comzine/no062/long_seller/index.html http://www.bond.co.jp/information/detail/20220620.html https://dashboard.e-stat.go.jp/graph?screenCode=00320 https://jp.reuters.com/article/china-covid19-ease-idJPKBN2S10DX http://www.bond.co.jp/sustainability/hilight_2009.html